マジックをやっていると、相手に見られていない間に何か仕掛けを施す。なんて事がよくあります。
良く言われるのが、右手が動いてる間に、コッソリ左手で何かやってんだよ。なんて言葉です。
正直に言います。
そんなに器用なことやってません(笑)
マジシャンだって人間なんですから、片手でなんでも器用にこなす事はできません。それに利き手だってあります。
でも、気がついたらグラスの下にトランプが置いてあった!着けていた時計が消えていた!なんて言われるわけなんですが、別に器用だからできるってことではありません。
では、どうやっているのか。
それは、意識を誘導しているだけの事なんです。
マジシャンが流暢にお話を始めます。どんなに手元から目を離さないようにしている人でも、しばらく手が動かずお話だけが続いていたら、手元ではなくマジシャンの顔を見出します。
そのタイミングで、マジシャンは堂々と仕掛けを施します。
人間は意識していないと、目の前で起こっている事でも認識する事が困難になります。
見ているはずなのに。です。
家で、いつもここに置いているテレビのリモコンが無い。どこに行ったか分からず探して回るのに見つからない。そして、諦めて別の作業を始めて、しばらくしてテーブルの上を見ると、そこにはテレビのリモコンが。
これは、頭の中で「リモコンが無い!」と思い込んでしまった結果、目の前にあるのに認識ができなくなってしまう現象です。
逆に、いつもは気にもしていないのに、ふとした瞬間に天井に出来た小さなシミを見つけて、気になって仕方なくなり、頑張って掃除をする。なんて事もありますが、これはそこに意識が向きすぎて、周りが見えなくなってしまっている状態とも言えますね。
マジシャンは、この二つの心理状態を巧みに操り、意識が向いてない状態を作り動作を行います。
騙されないためには、目の前の現象に集中し過ぎず、思い込まないという事が大事なわけですね。(正直、そんな人ばかりになるとこちらは困り果てる訳ですが)
さて、ここからが本題です。
マジシャン以外で、あなたを常に惑わし続ける存在がいます。それは誰でしょう?
答えは、あなた自身です。
もっと正しく言うなら、あなたの「感情」と「固定概念」が、あなたを惑わせます。
嫌な事が起こると、連続して嫌な事が起こる。
これも、あなたの中にいる悪いマジシャンが行うマジックです。
一つの嫌な事が起こった瞬間、悪いマジシャンは「感情」と「固定概念」を駆使して、嫌な事にしか意識が向かないようにしてしまいます。
マジックですから、本当の姿は見えず、どんどん思い通りに意識は操られてしまいます。
先程も言いましたが、マジシャンに騙されないようにするには、思い込まないこと、広い視野で見ること。これが大切です。
もし、嫌な事が起こったら、まずは深呼吸してみましょう。
そして、「嫌な事」ではなく、「一つの現象」として捉えてみてください。
きっと、あなたの中の悪いマジシャンには惑わされないようになっていける筈ですよ。